舞台芸術

2016年10月 2日 (日)

笑いと涙

10月になって初めての週末。天神のイムズホールに落語を聞きに出かけました。落語を聞き始めたのが今から9年前。話芸というものに関心を持ったきっかけは、柳家花緑さんがテレビの語学番組に出演していて「何となくこの人面白い」と思ったからです。

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昨日は、柳家花緑、桂春蝶の二人会、江戸・上方若旦那競演!ということで、どんな噺が聞けるのか、わくわく期待して座席に着きました。

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花緑さんの「紺屋高尾」、「親子酒」、春蝶さんの「野崎詣り」、「約束の海~エルトゥールル号物語~」、どれも熱演でした。私は「紺屋高尾」、「約束の海~エルトゥールル号物語~」で泣きました。落語で泣くのだということを知りました。もちろん肩をゆすって笑う場面も盛りだくさんでした。「いや、落語は素晴らしい」ということを花緑さん、春蝶さんに教えてもらいました。

客席には着物姿の女性が何人かいらっしゃましたし、前の座席には若いカップルが座っていました。笑って泣くことに男も女も老いも若きもないのです。会場全体が一つになっていました。春蝶さんの噺で「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、まさか」。落語はためになります。はい。

2016年10月 1日 (土)

ふるさと

月末、期末の仕事を片付けて劇場に向かう。劇団民藝の『バウンティフルへの旅』を観るために混み合う道路を時計を見ながら車を走らせた。指定日の27日は仕事が入って観れなかったが、何とか都合がついて観劇ができた。

都会に住む未亡人が、息子夫婦との同居生活に愛想をつかし、故郷に帰るというせつない逃避旅行を描いた作品だった。旅の中で出会う心優しい人たちに、未亡人の傷ついた心が癒されていく。そしてやっとの思いでたどり着いた故郷には知る人もなく、かつての生活の名残すらなかった・・・・。

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主演の奈良岡朋子さんは86歳。キャリー・ワッツ役を2時間近く演じた。2階の客席から観劇したが、舞台上の奈良岡さんの演技に引き込まれて物理的な距離感をまったく感じさせなかった。心温まるいいお芝居だった。

   ふるさとは遠きにありて思ふもの
   そして悲しくうたふもの
   よしや
   うらぶれて異土(いど)の乞食(かたい)となるとても
   帰るところにあるまじや
   ひとり都のゆふぐれに
   ふるさとおもひ涙ぐむ
   そのこころもて
   遠きみやこにかへらばや
   遠きみやこにかへらばや
                      室生犀星『抒情小曲集~小景異情・そのニ』より

2014年11月17日 (月)

名せりふ

昨日、文学座公演『女の一生』(作・森本薫)を観劇しました。

「誰が選んでくれたのでもない、自分で選んで歩きだした道ですもの」。布引けい役の平淑恵さんが腹の底から絞り出した台詞。いいお芝居を観ることができました。

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『長崎ぶらぶら節』以来、平淑恵さんの演技にはいつも泣かされるのです。平さんの目線には観客を惹きつけながら、何かを訴えるような力がありました。